ライティング未経験からいきなり実務へ―AI活用で1ヶ月後に検索1位を獲得
清水さんのAI活用は、追い込まれて始まりました。
パート勤務をしていたときに、従来とは異なるライティング業務を命じられました。採用時の契約はバックオフィス業務でしたが、社長にライティングの講座を購入したと話したところ、「オウンドメディアのライティングもやってほしい」と依頼されたのです。
「当時は講座を買っただけで、まだ何も勉強していなかったんです(笑)」
ですが、業務は待ってくれません。同じプロジェクトに参加していた3人は経験豊富なプロのライターの中、未経験なのは清水さんだけでした。
「絶対に置いていかれると思いました」
会社はSEOライティングのコンサルを導入し、半年間指導を受けたものの、成果はなかなか出ませんでした。なんとか検索上位に食い込むべく、2024年5月に清水さんは1本だけAIを使ってライティングをしてみました。
すると、その記事がわずか1ヶ月でGoogle検索で1位を獲得したのです。
「衝撃でした。半年間コンサル指導を受けても成果が出なかったのに、AIを使った1本目の記事が1ヶ月で1位になったんです」
この衝撃的な結果が、清水さんをAI学習へと駆り立てました。

「ちら見せ作戦」で社長の心を動かす―パート社員が仕掛けた静かな革命
2024年6月、清水さんはSHIFT AIに入会しました。SEOライティング講座やプロンプトエンジニアリング講座、社内推進やチームビルディングのウェビナーなど仕事に役立ちそうな講座を次々と受講することで、実務での活用方法を模索しました。
こうして学びを深めるうちに、清水さんはある確信を抱きます。会社にもAIを導入すれば、もっと効率的に働けるはずだ、と。しかし「パート社員という立場上、グイグイ提案しても引かれるだけなのでは?」と危惧していました。
そこで清水さんが取った戦略が、「ちら見せ作戦」です。普通では出てこないようなアイデアをさりげなく見せると、周囲から「これってChatGPTで作ったの?」と聞かれるようになりました。
「当時はまだ社内でAI利用のルールが整備されていなかったので、情報漏洩にならない範囲に限って、個人で課金したChatGPTを業務で試していました」
社長直属のポジションを活かし、意思決定者に自然な形でAIの価値を伝えていきました。
「社長もAI自体には興味がありました。ただ、仕組みには興味がなく『AIで何ができるか』だけに関心がある人だったんです」
アウトプットをちら見せしていくことで、徐々に社長の心を動かしていきました。
この戦略は功を奏します。社長から「清水さん、今うちで導入するとしたらどれがいいか調べてくれ」という依頼が来たのです。

AI全社展開へ―「事例共有会」と「コーチング先生」で社員をサポート
清水さんはChatGPT、Claude、Geminiを比較検討し、最終的にChatGPTを選びスモールスタートで運用を開始しました。ここで参考にしたのが、SHIFT AIで学んだ社内AI導入の進め方です。活用目的とゴールを明確に定め、推進方法を3段階にフェーズ分けし、コミュニケーション計画と利用ルールの明確化を行いました。
ところが2〜3ヶ月後、GeminiがGoogleワークスペースに統合されたことで、社長が「今日からGeminiを使います」と宣言しました。
ChatGPTからGeminiへ、スモールスタートから全社展開へと一気に変わりましたが、清水さんはここでめげませんでした。
SHIFT AIで学んだチームビルディングとポジショニング戦略を活用し、会社全体を一つのプロジェクトチームに見立てました。ウェビナーで紹介された「5つのサイクルとポジションの割り当て」を適用したところ、自社に最適なAI活用法と、具体的な推進手順が明確になりました。
この方針を元に、全社員向けの「事例共有会という名のお悩み相談会」を開催し、AI活用をサポートする体制を整えました。
特に力を入れたのが、「AIコーチングGemini先生」の作成です。GeminiとNotebookLMの使い方、事例、利用規約など、社員が困ったときに自己解決できるチャットボットを作りました。
この「Gemini先生」を、事例共有会の参加者にプレゼントとして配布したところ、社員の半数以上が参加する盛況ぶりになりました。
「社員の皆さんは忙しいので、1日5分だけでもいいから触れるように、Gemini先生に学習メニューを立ててもらうとよいですよ、とプレゼント配布と同時に促しました」
「会社の規模は正社員30名ほどですが、その規模だからこそ、一気に浸透させることができたのかもしれません」と振り返ります。

時給アップ、そして正社員オファー―でも断った理由
AI活用で成果を出した清水さんに、会社から2度の評価がありました。記事が検索1位になったときの時給昇給、そしてChatGPT導入後の正社員オファーです。
しかし清水さんは、このオファーを断りました。
「週4日勤務で正社員にしてくれるなら考えます、と伝えたんです。最初は了承してもらえそうでしたが、最終的には難しいと言われてしまって」
子どもとの時間を確保するため、週4日という条件は譲れませんでした。現在も時給制のパートとして働いていますが、社内では実質的にAI活用の推進役として頼られる存在になっています。

50歳を前に見据える「ゆとりある働き方」―Windows 95世代が選んだ道
清水さんはWindows 95が出る前の高校時代にプログラミングを学んでいました。
「その後IT時代が一気に到来して、私は全く仕事に困りませんでした。事前に学んでいたことが大きかったです」
その経験があるからこそ、今AIの大きな波が来ているという実感があります。
「今がその2回目なんです。AIの波が来ているという実感があります。だから当然のように準備しておかなければいけないと思っています」
清水さんの目標は、お金をガツガツ稼ぐことではありません。
「自分が困らない程度に、生涯的に働いて、ゆったりとした気持ちで今後も生活していくために、ここは絶対に必要なポイントです」
時流に取り残されない。それが清水さんの最大の目標です。

パート社員が社長を動かした―「圧を出さない」AI導入術
最後に、社内でAI導入を推進したい方へのメッセージをいただきました。
「まず”自分のため”に使うところから始めていいんです。自分の仕事を少し楽にしたり、日々の業務を効率化したり。その小さな実験がやがてチームに広がり、会社全体を変える力になります」
社内推進は、お給料をもらいながら現場で試せる練習の場。社内の人間だからこそ”ここが変わるとみんなが楽になる”という感覚が見えて、成果も出やすい。成功したら社内で評価が上がり、社外コンサルへもスムーズに進めます。
「1番大事なことは、圧を出さないことです」
押しつけがましいと絶対に引かれてしまいます。特にAIに対してまだ「なんか怪しい」と思っている人には、興味を持ってもらうにはどうしたらいいかだけを考えるべきだといいます。
「自分から『これもいいですよ、あれもいいですよ』と積極的にアピールしない方が、相手が興味を持ってくれます」
ただし、「聞かれたらしっかり答えられる」体制を自分の中に作っておくことが大切です。
「権威性の高い一次ソースのデータを引用して説明できるようにしたり、方針や考え方をしっかり準備しておいて、聞かれたときに自信をもって答えられるようにしていました。表に見せない裏の作業があったからこそ、経営層にGoサインを出してもらえたのだと思います」
パート社員という立場だからこそ、この「引き算のアプローチ」が効果的だったのかもしれません。
SHIFT AIでは、こうしたさまざまな「AIシフター」の挑戦を応援しています。SHIFT AI説明会やコミュニティで、あなたも一歩を踏み出してみませんか。
撮影場所: WeWork Shibuya Scramble Square



